2024/01/17
外壁塗装に使用する塗料を選ぶ際は、価格の安さだけでなく機能面にも注目することが必要です。
特に「外壁が汚れやすい」「何度水洗いしてもすぐに黒ずんでしまう」といったような外壁に関するお悩みがある場合は、「光触媒塗料」も検討の一つに入れていただいても良いかもしれません。
今回は塗料の中でも特に耐久性が高いと言われている「光触媒塗料」についての基礎知識と、気をつけておくべきポイントについてお伝えしていきます。
光触媒とは
そもそも「触媒」とは何なのか簡単にご説明すると、化学反応を促し物質変化を及ぼす仕掛けのことです。
そのため「光触媒」とは、光を利用して化学反応を促すことを表しています。
よく光触媒の例として使われるのが、植物の光合成です。
植物は葉緑素に光を浴びることで、「二酸化炭素と水」を「酸素と炭水化物」へ変化させます。
植物が葉緑素にて化学変化を発生させるのと同様に、光触媒技術では「酸化チタン」という物質が化学変化を促します。
酸化チタンに光が当たり酸素や水分と反応すると、有機有害物質を二酸化炭素と水に変化させ無害化します。
このことを「光触媒」と呼びます。
ちなみに「化学変化」や「酸化チタン」等と聞くと、人体への影響はないのかと不安に思われる方もいるかもしれませんが、
酸化チタンは食品や化粧品の着色料として使用されている安全な物質ですので、人体へ悪影響を及ぼすことはありません。
この酸化チタンを利用し、光触媒技術を塗料に応用したものが「光触媒塗料」であり、最近話題の塗料でもあります。
光触媒塗料の特徴
外壁塗装で使用される塗料は、主成分となる樹脂のグレードで耐久性が異なってきます。
しかし塗料にはグレードの違いだけでなく機能性の違いもあり、「無機塗料」や「断熱塗料」のように特殊な機能を持った塗料は「機能性塗料」と呼ばれます。
その中でも特に高価で優れた機能を持つのが、今回ご紹介する「光触媒塗料」です。
ここでは光触媒塗料を使うメリットについてご説明していきます。
●●汚れが付きにくい(セルフクリーニング効果)
光触媒塗料の最大の特徴は「セルフクリーニング機能」があることです。
光触媒塗料を外壁に塗装すると、二酸化チタンという物質が塗膜表面を覆うようになります。
この二酸化チタンは紫外線を浴びると活性酸素という物質を発生させます。
活性酸素は空気中の大気汚染物質を分解する力があるため、排気ガスなどの汚れが分解されて塗料表面に蓄積されにくくなるのです。
また光触媒塗料には親水性といって、雨水がくっつきやすい性質があります。
そのため活性酸素で分解された汚れは親水性塗膜に浮かび上がり、雨で洗い流されるようになります。
これがセルフクリーニング機能のメカニズムです。
●●トップクラスの耐久性を持つ
光触媒は塗膜を劣化させる原因となる紫外線を利用するため、長期に渡りお住まいを守ることができます。
塗料が何年もつのかを測定する試験結果によると、光触媒塗料は約15~20年相当の耐久性を持つ塗料とされ、フッ素塗料と並び抜群の対候性を持っています。
一般的なシリコン塗料が約10年程度の耐久性と言われているので、その1.5~2倍ほどということになります。
ただしこの数値は気候やお住まいの建っている立地によって変動するため、あくまで参考値としていただけたらと思います。
またどれだけ塗膜が良い状態であってもお住まいの外壁材から来る劣化は防げないため、その場合は再度塗装などの外装リフォームが必要となります。
●●空気清浄機能がある
光触媒塗料は空気中の汚れを除去する空気清浄機能もあります。
どういうことかというと、光触媒塗料を塗った外壁に太陽光が当たることで発生する活性酵素が、空気中の窒素酸化物を酸化させ大気中から除去してしまうのです。
窒素酸化物とは車の排気ガスや工場からの排煙に含まれるもので、酸性雨や光化学スモッグ等の原因となるものです。
戸建て1軒に塗るだけで、テニスコート4面分の緑地が持つ空気清浄能力を発揮させます。
量にすると12台の乗用車が一日に発生させる排気ガスに相当します。
光触媒塗料を選ぶ前に気をつけたいポイント
光触媒塗料を検討される際に、気をつけていただきたいポイントも何点かあります。
以下ではその内容について詳しくご説明していきます。
●●施工が難しく専門性が必要
光触媒塗料は非常に粘度が低く、サラサラとしており水のような状態の塗料です。
そのため塗装した際に垂れやすく、そのままにしておくと美観性が損なわれてしまいます。
また他の塗料に比べると必要な乾燥時間が長いため、施工する日の天気や気温などに一層注意を払う必要があります。
このように施工する際の注意点が多いことから、以前は講習を受けた認定店しか施工できませんでした。
現在はこの制度が廃止となり、どこの塗装店でも光触媒塗料を扱うことができるようになりましたが、高い専門性と技術が必要な塗料であることに変わりはないため、塗装を依頼する際は実績などを参考に業者選びをすると良いかと思います。
●●無機質系の汚れや過度の汚れには対応できない
光触媒塗料の特徴である「セルフクリーニング機能」は、どんな汚れに対しても効果があるわけではありません。
例えば錆や黄砂、エフロレッセンス(白華現象。コンクリート中にしみこんだ水分が蒸発する際に石灰などと一緒に溶け出てくる現象)など無機質系の汚れは酸化チタンで分解することができないのです。
また樹液や木の葉、鳥の糞など限られた部分に過度な汚れが付着すると、分解する力が追い付かず外壁が汚れてしまいます。
このような汚れが外壁についているのに気づいたときは、汚れの元を自分で除去することでお住まいを綺麗に保つことになります。
●●雨や光の当たりにくい場所では効果減
光触媒塗料が効果を発揮するかどうかは「紫外線量」と「雨量」に左右されます。
前述したように、光触媒塗料は「紫外線」に反応して汚れなどを分解する活性酸素を発生させます。
そのため曇っている日はもちろん、日当たりが悪い場所でも紫外線さえ感じとることができれば光触媒の効果を発揮します。
しかし隣の建物との距離が1m未満で常に日陰になっているような、紫外線すら当たらない立地では光触媒塗料の効果を発揮しづらくなります。
また、せっかく光触媒作用で汚れを分解しても、雨が当たりにくい立地では親水効果が発揮されず汚れが流れ落ちないため注意が必要です。
●●選べる色が限られている
光触媒塗料は酸化チタンを多く含むため、どうしても酸化チタンの本来の色である「白」が強く出てしまいます。
そのため鮮やかな色や濃色を出すことが難しく、選べる色も彩色のみとなります。
どうしても濃色で外壁を塗りたい場合は、一度外壁を任意の色で塗った後に光触媒コーティングを施すこともできます。
ただしその際は使用する塗料の選定に注意が必要ですので、担当者と要相談となります。
●●塗料の信頼性がまだ低い
光触媒塗料は近年登場したばかりの新しい機能塗料のため、実際に施工された現場が少ないというデメリットがあります。
外壁塗装は建物の素材や立地、使い方、環境などが原因となって、同じ塗料でも耐久性が変わることがあります。
たとえば光触媒塗料が20年間耐久性を失わなかった家があったとしても、別の家に塗ったときでは全く違った結果になってしまう可能性があるのです。
もちろん、これまでもシリコン塗料やフッ素塗料が登場した頃には「信頼性が低い」と言われていました。
しかし数多くの現場や有名な建築物に使われることで徐々に効果が実証されていきましたので、光触媒塗料もこれから信頼性を増していく可能性は大いにあります。
●●屋根や一部の外壁には塗装できない
光触媒塗料は現時点で屋根用タイプが販売されていません。
屋根は外壁よりもはるかに光が当たりやすい箇所ですので、塗装に使用する塗料も高い耐久性を必要とします。
仮に外壁のみ光触媒塗料で塗装し、屋根には機能性が付いていない一般屋根用塗料で塗装した場合、外壁だけ長寿命になって屋根は外壁よりも早く再塗装が必要になり、メンテナンスのタイミングがずれてしまいます。
すると足場代などの諸費用が外壁塗装と屋根塗装それぞれのタイミングで発生してしまい、外壁と屋根をまとめて一回で塗装したときよりも工事費用が割高になってしまいます。
このような理由から、屋根と外壁に使用する塗料のグレードは揃えた方がよく、もし外壁を光触媒塗料で塗装する場合は屋根も無機フッ素樹脂などのハイグレードな塗料を選ばなければなりません。
また光触媒塗料は、屋根以外にも木部や石、漆喰、樹脂などには使用不可となっています。
●●塗料の中でも施工価格が特に高い
塗料に限らず登場したばかりの商品は価格が高くなってしまうものであり、それは登場して数年しか経っていない光触媒塗料も同様です。
他の樹脂塗料と比べると、およそ以下のような価格差となります。
塗料の種類 | ㎡あたりの単価 |
アクリル塗料 |
1,200~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 |
2,000~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 |
2,800~3,500円/㎡ |
フッ素塗料 |
3,800~4,500円/㎡ |
断熱・遮熱塗料 |
3,200~3,800円/㎡ |
光触媒塗料 |
3,800円~5,000円/㎡ |
このように、光触媒塗料は現在販売されている塗料の中でも特に高額です。
元々汚れが目立たない家などは、光触媒塗料で塗装しても思ったほどの防汚効果が感じられず、費用対効果を得られないかもしれません。
そのため、今後普及が進むにつれて徐々に光触媒塗料も塗料価格が下がると考え、価格も耐久性も安定しているシリコン塗料などで一旦リフォームを済ませておく方法もおすすめです。
最後に
光触媒塗料は高い機能と耐用年数を誇る最新の塗料ですが、発売したばかりで施工例が少なく効果がはっきりしないというデメリットもあります。
そのため、もし光触媒作用に興味があっても安易に即決せず、実際に光触媒塗料で塗装した経験を持つ業者に相談する等して、塗料の持続性や劣化状況などをよく確認することが重要です。
弊社では、お住まいの状況に合わせた塗装プランのご提案しております。
お住まいの状況は環境によって大きく変わります。
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また弊社の大切にしていることとして、塗装後もキレイを保つことです。
「毎年点検」として、毎年お住まいの外壁塗装の状況を確認させていただいております。
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この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
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