2024/02/25
モルタル外壁でどうしても避けることが出来ない劣化と言えば、クラック(ひび割れ)です。
クラック対策として使用される機能性塗料に、ゴムのような柔軟性と伸縮性を持つ「弾性塗料」があります。
ただし弾性塗料を選択しても、きちんと工法を守らなければ施工後に膨れが生じたり、数年後に硬くなって結局ひび割れが起きたりする恐れがあります。
今回は特殊塗料である弾性塗料について、メリット・デメリットや注意点、工法の種類について詳しくご説明いたします。
・やわらかくひび割れに強い
・防水性が高い
・モルタル外壁の劣化を防ぐ
・塗膜が膨らみやすい
・施工が難しい
弾性塗料の注意点は?
・窯業系サイディングには不向き
・外壁塗装の専門業者で相見積もりを取る
弾性塗料とは
弾性塗料
弾力性が非常に高い塗料のことを「高弾性塗料」と呼び、やや弾力性を持つ塗料のことを「微弾性塗料」と呼びます。
20度で120%以上伸びる塗料
微弾性塗料
20度で伸び率が100%以下の塗料
このうち微弾性塗料は、塗り方にもよりますが約2~3年で弾性がなくなり、硬い塗膜になってしまいます。
そのような状態になってしまうと弾性塗料の効果が十分に発揮されないため、注意が必要です。
なお、弾性塗料かどうかの定義は「少し伸び率がいい塗料」という程度で明確な基準は存在しませんので、弾性を持たない塗料よりはやや伸びると考えておくと良いでしょう。
弾性塗料のメリット
弾性塗料のメリットを活かすためには、外壁の種類とその外壁に起こりやすい劣化症状を知っておかなければなりません。
特にモルタル壁のお宅では弾性塗料を選ばざるを得ないケースがあるため、なぜ弾性塗料がひび割れ対策に適しているのか知っておくことが大切です。
●●やわらかくひび割れに強い
弾性とは力が加わったときに動き、力がなくなったときに元に戻る性質のことを指します。
ゴム製品をイメージするとわかりやすいかと思います。
塗料の世界における弾性とは、ひび割れが起きそうになっている外壁の動きに応じて動く性質のことを指します。
外壁は全く動いていないように見えて、実は太陽光の熱や湿気等で伸縮したり強風や地震で揺れたりして、絶えず動いています。
外壁が動いた際、その動きに塗料がついて行けないと塗膜が破れてひび割れ(クラック)が起こります。
しかし、柔らかい弾性塗料は外壁が動いても塗膜自身が伸び縮みするため、ひび割れが起きにくくなります。
●●防水性が高い
弾性塗料は非常に作業性が良く外壁にしっかり密着する性質があるため、そのカバー力によって建物の防水機能を高めることができます。
また弾性塗料は施工時に分厚く塗るため、完成した塗膜は分厚い防水層となり外壁に雨水が当たりにくくなります。
さらに、高い追従性でひび割れを防ぐことからひび割れから浸水する雨水も防ぐため、あらゆる面で高い防水効果を持つ塗料と言えるでしょう。
●●モルタル外壁の劣化を防ぐ
モルタル壁は、外壁材の中でも特にひび割れを非常に起こしやすい種類になります。
耐候性に優れた最高級グレードのフッ素塗料でも、モルタル壁の動きによってすぐにひび割れを起こしてしまうほどです。
約20年の耐用年数を持つと言われるフッ素塗料で塗装したにも関わらずわずか数年でひび割れが生じてしまうと、せっかく高額な工事費用をかけた意味を失ってしまいます。
このような理由から、モルタル外壁ではひび割れを起こしにくい弾性塗料の使用が推奨されています。
また、モルタル壁は吸水性が高く雨水などの水分を吸収しやすいため、建物の躯体保護という点でも、高い防水効果を持つ弾性塗料がおすすめです。
弾性塗料のデメリット
弾性塗料のデメリットは以下の2つです。
・塗膜が膨らみやすい
・施工が難しい
デメリットの対処法も合わせて紹介していきます。
●●塗膜が膨らみやすい
弾性塗料のデメリットは、塗膜が膨らみやすいことです。これは弾性塗料の通気性の低さが原因です。
外壁表面の水分を乾かしきっていない状態で弾性塗料を塗ると、水分が蒸発できなくなります。
そうすると外壁内部の水分が蒸発できないため、外壁と塗膜の間に水蒸気が溜まり、塗膜が膨らんでいくのです。
なお現在は通気性能が高い弾性塗料も販売されていますので、気になる方は業者に問い合わせてみてください。
●●施工が難しい
弾性塗料は施工が難しい塗料と言われています。
外壁塗装をする際、まずは高圧洗浄機で壁の汚れを落としますが、このとき壁に付着した水分の乾かしが不十分だと塗膜が膨らむ原因になります。
弾性塗料の施工には専門知識が必要なため、施工実績が豊富な業者に依頼すると安心です。
弾性塗料の注意点
弾性塗料には注意が必要な点がいくつかあります。
以下ではその内容について詳しくご説明していきます。
●●窯業系サイディングには不向き
弾性塗料は窯業系サイディングには不向きです。
窯業系サイディングとは大量生産がしやすく、広く普及している外壁材のことです。
熱を蓄え水を含みやすい性質を持っています。
窯業系サイディングと弾性塗料の相性は悪く、塗膜が膨らみやすくなってしまいます。
お住まいに窯業系サイディングを使用している場合は、別の塗料を検討しましょう。
●●外壁塗装の専門業者で相見積もりを取る
弾性塗料を使った施工方法の種類
弾性塗料の塗装には以下の3つの工法があります。
・単層弾性工法
・複層弾性工法
・微弾性工法
ここではそれぞれの内容について詳しくご説明していきます。
●●単層弾性工法
単層弾性工法は、塗装を3回に分けて行う工法です。
シーラーという下塗り材を外壁に1回塗った後、単層弾性工法用の弾性塗料を2回塗ります。
他の工法に比べて施工が簡単なため、費用を抑えられることがメリットです。
一方で耐用年数が3〜10年程度と短いというデメリットがあります。
定期的に塗り直す必要があるため、長期的にみるとコストパフォーマンスは低い傾向にあります。
●●複層弾性工法
複層弾性工法は、塗装を5回に分けて行う工法です。
下塗り材を1回塗った後、弾性塗料を2回塗り、仕上げに一般的な塗料を2回塗ります。
複層弾性工法で施工する場合、耐用年数は10〜20年程度です。
工事期間が長くなりやすく、人件費や塗料代が必要なのでコストがかかる傾向にあります。
しかし、耐用年数が3つの工法のなかで一番長いことが特徴です。
●●微弾性塗料工法
微弾性工法は塗装を3回に分けて行うものです。
まずは下塗り材に「微弾性フィラー」と呼ばれる弾性のある塗料を使用し、その上に一般的な塗料を2回塗ります。
微弾性工法は下塗り材に弾性があるだけで、上に塗っている塗料に弾性はありません。
上に塗る塗料は、シリコン塗料・フッ素塗料・無機塗料が主流です。
それぞれの塗料の耐用年数は次のとおりです。
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年
単層弾性工法とは違い、頻繁に塗り替える必要がないことが特徴です。
最後に
モルタル壁などひび割れが多い外壁にお悩みの方にとって、ゴムのような性質でひび割れを防ぐ弾性塗料はまさに画期的な塗料と言えるかと思います。
一般的な硬質塗料と違って、通常とは違う工程が発生したり施工価格が高くなったりすることもありますが、わかりやすい見積もりを作ってくれる業者であれば施工内容についても丁寧に教えてもらうことができます。どの塗料にも言えることですが、メリットとデメリット、注意しなければいけない点がありますので、プロに相談しながらお住まいに合ったものを選びましょう。
弊社では、お住まいの状況に合わせた塗装プランのご提案しております。
お住まいの状況は環境によって大きく変わります。
だからこそ、プロである私たちがお住まいごと、お客様ごとに最適な塗料・プランをしっかり検討いたします。
もちろん、お住まいの状況を確認したいという方もご相談ください。
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また弊社の大切にしていることとして、塗装後もキレイを保つことです。
「毎年点検」として、毎年お住まいの外壁塗装の状況を確認させていただいております。
毎年点検することで、前回の点検時との違いや、北九州市に多い雨漏りなどの漏水トラブルが起こっていないかなど、細かに点検しお伝えいたします。
顔を合わせる機会が増えることで、お客様にとって住まいに関するお悩みやお困りごとを『気軽に、安心して相談できる』会社を目指しています。
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この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
塗装工事はどの業者に頼まれても塗ったばかりはキレイだと思います。塗装工事で差が出るのは〈数年後〉です。塗装工事を行い数年経過しないと適正な工事をしたのかがわからない、ここが塗装業者選びの難しいところです。塗装の高品質団体プロタイムズは『社会に貢献できる塗装・社会に誇れる塗装』をご提供させていただきますので、塗装工事でお悩みの際はお気軽にご相談ください。