2023/10/03
外壁や屋根、基礎などに見られる亀裂やひび割れのことを「クラック」と呼びます。
このクラックは、ひびの大きさや深さによってもいくつかに分類されます。
今回はそのなかの「ヘアクラック」をメインにご説明します!
ヘアクラックとは
髪の毛ほどの細いひび割れを総称して、ヘアクラック(ヘアークラック)と呼びます。
ヘアクラックには定義があり、一般的に幅0.3㎜以下、深さ4mm以下のひびを指します。
この程度のクラックであれば、モルタル下地までひび割れておらず塗膜のみが割れている場合も多いです。
劣化の中でも比較的初期症状のため、いますぐに対処しなくてはいけないほどの緊急性はありませんが、
長く放置してしまうと徐々に大きなひび割れとなっていく可能性があります。
そろそろメンテナンスが必要なタイミングの目安と考え準備されるのをおすすめします。
●●そのほかの外壁クラック
・乾燥クラック
乾燥クラックは、モルタルや構造部木材の乾燥収縮によって発生するひび割れを指します。
壁の面積が大きい場合に起こりやすくなります。
クラック幅が狭く、外壁が汚れていると発見できないほどの小さなひび割れです。
・構造クラック
幅0.3mm以上、深さ5mm程度のクラックを構造クラックと呼びます。
貫通クラックとも呼ばれており、基礎補修が必要なひび割れです。
原因は様々ですが、外壁の表面からの影響ではなく内側からの影響で起こるため、
建物の構造的な欠陥や地震等によって発生することが多いです。
・縁切りクラック
壁を建設途中に作業を中断したりやり直しをしたりした際に、
前の塗膜と後の塗膜の継ぎ目にひび割れが起こっている状態です。
ヘアクラックの原因
クラックの中でもとても細いひびに分類されるヘアクラックですが、何が原因で発生してしまうのか、
すぐに補修の必要があるのかについて触れていきます。
●●主な原因
・経年劣化
・乾燥(モルタル・コンクリートの場合)
・地震、地盤沈下
・施工不良
特に多い原因は経年劣化です。
紫外線でダメージを受け続けた外壁は、防水性の低下により雨水を弾かず吸収するようになってしまいます。
雨水の吸水・乾燥を繰り返すと、それに伴って外壁自体も膨張・収縮を繰り返してしまうため、
その負荷からひび割れが発生しまいます。
またヘアクラックが真横に延びている場合は、地震や地盤沈下による構造の問題が発生している可能性が高いため
クラックの状態をよく見て原因を判断することが大切です。
●●放置するとどうなる?
・雨漏りの原因にも
建物内部に雨水が浸入してしまい、雨漏りに繋がってしまいます。
サイディングやモルタル外壁の場合、外壁の厚みが10~20cm程しかないため
クラックの影響ですぐに雨漏りを起こしてしまいます。
・鉄筋への影響
鉄筋コンクリート造の建物の場合、クラックが生じると内部にある鉄筋にも影響を与えてきます。
雨水等が鉄筋に触れることによりサビが発生し、鉄筋の効力が失われてしまいます。
鉄筋は引っ張り力に強く、コンクリートの圧縮力と併せてその強さを発揮しますが、
その効力が失われてしまうことでコンクリートの圧縮力しか発揮できなくなるためです。
●●なるべく早めのメンテナンスを
緊急性の低いヘアクラックですが、前述のとおり放置し続けるとどんどん幅が大きくなり、
水を吸収しやすくなって外壁自体を脆弱にしてしまいます。
放置し続けてしまうと
・ひび割れがさらに大きくなり割れる
・躯体の木部が濡れて腐る
・雨漏りする
・白蟻が発生する
など建物の耐久性が損なわれてしまうので、近い将来にメンテナンスを検討しましょう。
最後に
ヘアクラックは他のクラックに比べとても細く目立ちにくいですが、
放置してしまうと建物の耐久性を落としかねない初期の劣化症状です。
早めに気づくことで大きなトラブルからお住まいを守ることができます。
弊社では毎年行っている定期点検にて、こういった初期症状も丁寧にチェックし
ご報告させていただいておりますので、安心してお住まいをお任せください!