2024/01/06
外壁塗装業者の中には「パック料金」というサービスを行っている業者が存在します。
パック料金とは、業者があらかじめ用意した塗料などを使って定額で塗装ができるプランのことです。
定額のため外壁塗装に詳しくない方でも気軽に利用しやすいという側面がありますが、内容を全く知らずに利用すると満足のいく塗装にならないこともあるため注意が必要です。
今回は外壁塗装のパック料金の特徴や、注意点について詳しくご説明いたします。
外壁塗装のパック料金とは
冒頭で少し触れましたが、外壁塗装におけるパック料金とは定額で利用できる塗装工事のパッケージ商品のことです。
例えば「外壁塗装シリコンパック60万円」「断熱塗料パック70万円」といったような内容で、プラン名や金額は業者によって異なるものの、おおむねこのように価格付きで表記されています。
通常外壁塗装を行う際は、まず塗装業者やリフォーム会社が現地調査を行います。
それから外壁の素材に合った塗料の種類や外補修方法の選定、施工面積の計算などに基づいて見積書の作成を行います。
これらの金額の算出方法や工事内容の判断は業者によって異なるため、外壁塗装の見積りは選んだ業者によって全く異なる内容になることがあります。
一方、パック料金の場合は工事に関する様々な費用が最初から定額で設定されているため、現地調査に訪れた営業マンや職人によって見積りの内容が変動するといったことがありません。
●●外壁塗装パックに含まれる作業内容
外壁塗装において行われる基本的な作業内容としては以下のとおりです。
・足場設置
・養生
・高圧洗浄
・下地処理
・付帯部塗装
・外壁塗装
このように作業には複数の工程があり、外壁塗装パックで行われる工事にももちろんこれらの作業が含まれていますが、
中には塗装に必要な作業が省かれ追加費用が発生するようにしている業者もあるため、必要な工程がパック料金の中に含まれているかどうかの確認が重要です。
●足場設置、養生は追加料金が発生するのか確認
建物の大きさや形によって必要な足場や養生の部材の量が変わってくるため、場合によっては追加工事が発生することになってしまいます。
そのため足場設置費用はパック料金に含まれているのか、含まれているのであれば追加料金なしで設置できるのかを事前に確認しましょう。
●高圧洗浄、下地処理は料金内で全て補修してくれるのか確認
塗装をする上で高圧洗浄やコーキングといった下地処理は欠かせない工程です。
パック料金にはこれらの工程が含まれていなかったり、外壁の傷の種類によってはオプション料金が発生したりする場合もあるため、
きちんと含まれているかどうかの確認はもちろん、下地処理がどこまで行われるかの確認も必要です。
●塗装工程において3回塗りがパック料金に含まれているか確認
外壁塗装においては最低でも3回塗りをするのが一般的です。
通常のパック商品であれば「塗料の3回塗りを行います」と記載されていますが、悪質な業者の場合「3回塗りはオプションです」と、
契約後に追加料金を提示してくるケースもあります。
パック料金を選ぶ際は、塗装回数を明確に提示しているかどうかの確認も行いましょう。
パック料金の注意点
前述したように、パック料金はリフォームが初めての方や工事内容がよくわからない方でも予算が立てやすく、安心して工事に踏み切ることができる魅力があります。
しかし安易にパック料金で行うと、追加料金が発生する等の思わぬ落とし穴が待ち受けている恐れがあるため、十分注意が必要です。
もちろんパック料金がすべて施主様を騙す目的で設定されているわけではありません。
良心的な業者であれば、パック料金で施工すると多くのオプション費用が発生してしまう可能性のある場合には、通常の見積りによる施工を勧めます。
パック料金の注意点を理解しておくことで、より施主様主体の理想に近いリフォームにすることができるかと思いますので、
ここではいくつかの注意点についてご説明いたします。
●●パック料金に屋根塗装などが含まれていない可能性がある
屋根塗装は一般的に、足場費用などを考えると外壁と同じタイミングで塗り替えることをおすすめしています。
安いからといって外壁塗装のみで屋根塗装や点検が含まれていないパックを選ぶと、外壁に比べ劣化しやすい屋根に起こっている重大な劣化症状を見逃してしまう恐れがあります。
●●施工面積に上限がある
すべての料金がセットになったパック商品とはいえ、全ての家でその料金が適用されるわけではなく、やはり設定料金内で施工できる範囲には限界があります。
塗装面積が小さい家と大きい家を同じパック料金で施工すると、業者は利益を出すことができなくなってしまうため、施工できる塗装面積に下記のような上限が設けられている可能性があります。
・「100㎡まで」
・「○○平米以上は追加料金」
・「一般的な住宅の場合」
このような条件を付けている場合もあるため、その料金が適用される条件かを必ず確認しましょう。
なお、塗装面積の条件を「一般的な住宅の場合」といったような曖昧な表現をしている業者よりも、「○○平米以上」のように具体的な面積を提示している業者を選んだほうが工事後のトラブルを避ける上でも安心と言えます。
●●定額パックがお得とは限らない
塗装工事をできるだけ安く行いたい方が価格重視でパック料金を選ぶ際、条件となっている施工面積よりお住まいが小さい場合も注意が必要です。
例えば施工面積の上限が100㎡で、実際には80㎡しか施工をしなかったとしても、上限との差である20㎡分の料金は返金されません。
あるいは外壁の状態が非常に良く下地処理がほとんど必要ない場合は、パック料金に含まれている下地処理の費用よりも少ない料金で施工できるかもしれません。
パック料金を利用するためのポイント
パック料金は一見手軽で魅力的な商品に映りますが、実際は塗装の知識がある人でなければ賢く利用するのが難しい部分のある商品です。
しかし本当にお得なキャンペーンとして提供されているパック料金もありますので、利用時のポイントや注意点を事前に把握しておき、疑問点は業者に質問することをおすすめいたします。
●●記載されている補足説明をしっかり読む
パック商品を選ぶ際、つい金額の安さやメインのサービス内容に目が行きがちですが、小さい文字で書かれている補足説明も重点的にチェックすることが大切です。
補足説明には例えば以下のような内容が記載されています。
・足場設置の条件「屋根足場は追加料金」「平屋の場合は設置しない」など
・塗装を3回塗りまで行うかどうか
・塗料の種類・グレード、水性・油性など主成分以外の分類
・塗装面積の上限を超えた場合の㎡あたりの単価
特に注意が必要なのは、「その他」や「状況に応じて」といったような曖昧な表記になっている箇所です。
具体的な数字や条件を必ず業者に相談し、契約前に全ての工事内容に合意しておくことが重要です。
●●相見積もりを取る
定額のパック料金を利用する場合でも、やはり複数の業者で相見積もりを取ることをおすすめします。
またその際はパック料金の相見積もりだけでなく、通常の見積りも取っておくとさらに正しい比較がしやすくなります。
通常の見積りでは建物の図面をもとに、外壁面積や付帯部の施工費用などを一通り算出してもらうことができるため、もし通常の見積りとパック料金で行う作業内容に違いがなく、
パック料金のほうが安くなるようであれば本当にお得なパック料金になるかもしれません。
しかしパック料金ではカバーできない工事費用が発生したり、そのためにオプション料金が多く発生したりするようであれば、パック商品でなく通常の見積りできちんと総費用を算出してもらったほうが賢明かと思います。
最後に
費用や作業内容がわかりやすいパック料金は、外壁塗装がはじめての方でも便利さを感じられる魅力がありますが、
施工内容がお住まいに合っていなかったり注意書きの記載に気づかなかったりすると、提示されている金額で施工できなかったり追加工事が発生したりといった、
思わぬトラブルや失敗を招く恐れがあります。
もしパック料金をご検討の場合は必ず通常の見積りも取って、行うべき工事に漏れがないか費用は妥当かを判断し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
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この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
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