2024/02/11
外壁塗装はただ単に壁に塗料を塗れば良い訳ではなく、塗料が効果を最大限発揮するように正しい手順を踏まなければなりません。
その手順の中でも重要な工程の一つが、「下塗り」という作業工程です。
今回は下塗りという工程の内容や使われる塗料の種類等について解説します。
下塗りは外壁塗装の重要工程
外壁塗装では基本的に「下塗り→中塗り→上塗り」と最低でも3回以上は塗料を塗り重ねていきます。
上塗りで塗装された塗料が外壁に塗膜を作るため、耐久性の面からも美観性の面からも上塗りが外壁塗装のメインと言えます。
しかし、下塗りが適切に行われなければ上塗り塗料はその耐久性を発揮することができません。
●●下塗りが外壁塗装の耐久性を高める
外壁塗装リフォーム工事は基本的に、劣化した外壁で行われます。
外壁や屋根が木やコンクリート等どのような素材で作られていても、経年劣化によりいずれは劣化してしまいます。
しかし、その劣化した外壁にいきなり塗料を塗っても、塗料が外装材に吸い込まれて色ムラができてしまったり、外装材と塗料の相性が悪く弾かれてしまったりすることがあります。
そのような状態で施工されて、すぐに施工不良が起きてしまった施工例もあります。
そうならないためにも、外壁には最初に下塗り塗料を塗っておく必要があります。
優良業者は下塗りの工程をきちんと守ってくれますが、手抜き業者や悪徳業者は下塗りを省略することもありますので、手抜きポイントをチェックするためにも見積もりに下塗りが含まれていることを必ず確認しておくことをお勧めいたします。
●●下塗り用塗料は現場に合わせて使い分ける
下塗りでは下塗り専用塗料の塗料が使われます。
下塗り塗料は、家の状態や外壁の材質によって「シーラー」「フィラー」「プライマー」などが使い分けられます。
さらに、下塗り塗料を選ぶときには上塗り塗料との相性も見極めなくてはなりません。
仕上げ塗りで使われる上塗り作業塗料には「水性塗料」「弱溶剤型塗料」「溶剤型塗料」といった塗料タイプの違いのほか、「断熱塗料」「特殊塗料」といった機能型塗料がありますが、それぞれに適合している相性の良い下塗り用塗料を選択しなくてはなりません。
●見積もりには必ず「塗料名」を記載してもらうこと
見積書の詳細欄に塗料ごとのメーカーや商品名まで書いてあれば、大手塗料メーカーのホームページで情報確認することができますので、業者から見積もりを取るときはできるだけ塗料名まで記載してもらいましょう。また、このように塗料メーカーのホームページで内容をチェックすることは、塗装費用の相場確認にも繋がります。
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その他見積書を確認する際のポイントはこちらからご覧いただけます。
▶▶重要!見積書で理解しておくべきポイント
下塗り用塗料の種類
以下では、下塗りで使われる下塗り用塗料の種類について具体的にご紹介します。
●●シーラー
密封・密閉という意味の「シール」が語源となっており、クラック等がない外壁ではこのシーラーが下地強化剤として使われます。
ちなみにサイディングボードの目地の部分に充填するコーキング材のことを「シーリング剤」「シーラー」等と呼ぶこともありますが、本項のシーラーとは全く別の部材です。
シーラーは上塗り塗料が下地に吸い込まれていくのを防ぐ役目を担っています。
塗っておくと壁面がしっかりするので、後から塗る上塗り塗料が非常に塗りやすくなります。
色の種類は透明や白などがありますが、シーラーは塗膜色よりも接着力や抗浸透力などの機能を重視して選ばれます。
ただし、シーラーはコンクリート壁、モルタル壁、石膏ボード壁などの限られた外壁にしか使用できず、それ以外の壁では「浸透性シーラー」が使われます。
●シーラーの種類
シーラーは大きく4種類に分類できます。
・合成樹脂エマルション型シーラー
最も広く普及しているのが「合成樹脂エマルション型シーラー」です。
合成樹脂エマルション型シーラーは水系シーラーのため、こちらを下塗り材に使ったときは同じ水性系統の合成樹脂エマルション塗料を上塗りするのが理想的です。
・熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
樹脂に塩化ゴムや塩素化ポリプロピレンが含まれている、溶剤シーラー(油性シーラー)です。
前述の合成樹脂シーラーが水系なのに対し、熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーは溶剤、つまり油性タイプです。
水系の合成樹脂エマルション型シーラーに比べると密着性はやや高くなります。
なお、溶剤型シーラーを地用したときの上塗りの塗料は溶剤系塗料を用いるのが理想的です。
・溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー(反応硬化型シーラー)
「溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー」は基材および硬化剤で構成されるシーラーです。
浸透性が高いため下地内部に吸収されやすくなりますが、下地を補強する目的で使われることがあります。
・浸透性シーラー
塗料が外壁に染み込んでしまって表面に定着しないことを、外壁塗装では「吸い込む」と表現します。
通常のシーラーを使うと吸い込まれてしまうような外壁では、「浸透性シーラー」という下地強化塗料が使われます。
浸透性シーラーは、しっかりと壁の内部まで行き届いて壁自体の強度を高めることができるシーラーです。
吸収性が高い外壁の具体的な例を挙げると、
・ケイ酸カルシウム板
・PC板(プレストレスト・コンクリート)
・ALC板(軽量気泡コンクリート)
・GRC板(ガラス繊維強化セメント)
・押し出し成形セメント板
・窯業系サイディングボード
・かなり古くなったコンクリート壁
・モルタル壁
などがあります。
2液型溶剤タイプの浸透性シーラーの方がより下塗り塗料として優れていますが、改良された浸透性シーラーも登場しています。
その結果、2液型に比べるとやや耐久性が劣る1液型弱溶剤タイプでも下地材として遜色なく使用できるようになりました。
●●バインダー
シーラーとよく似た性質の下地材ですが、シーラーが吸い込みが激しい下地の吸い込み防止のために使われるのに対し、バインダーは吸い込みが起きない下地にしっかり上塗り塗料を定着させるために使います。
●●プライマー
ポジション的にはシーラーと同じ下地材です。
プライマーは主に、鉄・ステンレス・アルミなどの鉄部に塗って上塗り塗料を付着しやすくするために使われます
ただし錆びを除去する能力はありませんので、塗装前にサンドペーパーや研磨布を用いてしっかりと錆びを落とした状態で使わなければなりません。
なお、錆び防止効果を持つプライマーもあります。
●●フィラー
外壁にヘアークラックの細かい亀裂や軽い凸凹等があって上塗りが困難なときは、フィラーを下塗りして塗装面を平らにしておきます。
特に、ひび割れが起きやすいモルタル壁では補強効果を持つフィラーが下地材に選ばれます。
注意点として、ヘアークラックの上からフィラーを塗るときは深さが0.3mmぐらいまでの浅いものに限り、それ以上深い場合は割れを補修する工事(Uカット工法など)や下記の微弾性フィラーを使って下塗りを行います。
●微弾性フィラー
微弾性フィラーは、シーラーの「塗面と塗料の密着性を高める効果」と、フィラーの「凹凸を無くしなだらかにする効果」の両方を兼ね備えた下地材です。
フィラーと違って様々な外壁に塗る事ができ、さらに弾性という名の通り、伸縮して外壁の動きに追従するため塗装後のひび割れ再発を防ぐ効果も持っています。
カチオン原料を硬化剤に使用した、より密着性を高めた「カチオンフィラー」などの種類もあります。
●●サーフェイサー
サーフェイサーは、厳密には下塗りではなく中塗りに用いる塗料です。
サーフェイサーには下塗り塗料そのものを微調整する効果があります。
例えば、一層目の下塗りで凹凸が完全にカバーできなくても中塗りにサーフェイサーを使えば、仕上げ塗料を使うときには凹凸のない滑らかな下地面ができあがります。
なお、下塗り塗料を塗らずに第一層目から使えるサーフェイサーや、プライマーの役目も兼ね備えた「プライマーサーフェイサー」等の種類も登場しています
下塗り作業前のチェックポイント
下塗りは仕上げの塗料性能をより高めるために行われる大切な工程ですが、外壁そのものの状態が万全でなければいくら下塗りをしても意味がありません。
塗装の手抜きを防ぐためにも、下塗り作業前のチェックすべきポイントを押さえておく必要があります。
●●高圧洗浄で下地の汚れを除去する
外壁塗装では、強力な業務用の高圧洗浄機で外壁を洗浄する作業が必ず行われます。
どの外壁も、塗装が必要な時期に差し掛かっていれば当然、長年の汚れが蓄積しており汚れやカビがこびりついて通常の水洗いでは取れなくなっていることもあります。
この汚れやカビを放置したまま外壁塗装をしてしまうと、塗装の耐久年数は著しく落ちてしまいます。
外壁・屋根下地に異物が残ったままグレードの高い塗料で塗装しても、下塗り・上塗り塗料が外壁に密着できず剥がれや膨れなどの施工不良を引き起こします。
あるいは、養生をする時のテープも汚れで剥がれやすくなり作業効率自体も低下してしまう可能性があります。
業者から外壁塗装の工程表をもらったときは、下地調整の前に必ず高圧洗浄が予定されていることを確認し、作業後は1~3日の乾燥期間が設けられていることも忘れずにチェックしておくことが肝心です。
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高圧洗浄についての基礎知識はこちらからご覧いただけます。
▶▶塗装の前の下準備!高圧洗浄で塗料の耐久性が変わる?
●●丁寧に下地処理を行う
外壁には経年劣化でひびや亀裂ができていることがありますが、これらを残したまま塗装をしても亀裂は消えません。
亀裂が残ったまま塗装された外壁は、塗料がそこだけ浮いてしまい剥がれなどの施工不良を引き起こす他、雨水が外壁材の内部に浸水する可能性も高くなります。
建物の防水性・防カビ性を高めるという点でも、下地処理は特に重要な工程です。
●鉄部のケレン作業も行われていること
金属サイディングや金属製エクステリア部材が使われている場合は、「ケレン作業」が作業内容に含まれていることも確認しておくことが大切です。
ケレン作業とは、鉄部の錆びを落とす作業のことです。
専用のヤスリや金属製のブラシなどを使って、鉄製の外壁や付帯部の表面に発生したサビをしっかり除去しておくことにより塗装と外装の耐久性を高めます。
なお、外壁塗装では窓枠や雨樋などの付帯部分の補修および塗装も重要です。
軒天部分もしっかりと塗装することが望ましいため、見積書では付帯部も下地処理が丁寧に行われたうえで塗装されているかチェックしておきましょう。
●コーキングの補修も行われていること
サイディング外壁にはボード同士を繋ぐ目地にコーキングという部材が充填されています。
この部分は耐候性が低いため紫外線で劣化しやすく、外壁よりも先に劣化していることがあります。
コーキングが劣化すると裂けたり縮んだりして隙間から雨水が入り込んでしまいますので、劣化を放置したまま下塗りをしても塗装はおろか外壁の耐久性も高めることがはできません。
コーキング補修は下地調整の際に行われますので、古いコーキング材を剥がして新しく充填する「打ち替え工事」が行われることを見積もりから確認しておきましょう。
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ケレン作業についての基礎知識はこちらからご覧いただけます。
▶▶塗装工事における重要工程!ケレン作業とは?基礎知識と重要性
最後に
このように塗装における下塗りは、塗料の効果を高めて外壁の耐久性を長持ちさせるためにも欠かせない工程です。
業者に見積書を作ってもらうときは、下塗り塗料のメーカー名や塗料名までしっかり書いてもらい、確実に下塗りが行われていることを確認しましょう。
弊社では、お住まいの状況に合わせた塗装プランのご提案しております。
お住まいの状況は環境によって大きく変わります。
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毎年点検することで、前回の点検時との違いや、北九州市に多い雨漏りなどの漏水トラブルが起こっていないかなど、細かに点検しお伝えいたします。
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この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
塗装工事はどの業者に頼まれても塗ったばかりはキレイだと思います。塗装工事で差が出るのは〈数年後〉です。塗装工事を行い数年経過しないと適正な工事をしたのかがわからない、ここが塗装業者選びの難しいところです。塗装の高品質団体プロタイムズは『社会に貢献できる塗装・社会に誇れる塗装』をご提供させていただきますので、塗装工事でお悩みの際はお気軽にご相談ください。