2023/08/30
塗装の見積りの際などに「プライマー」という単語を目にしたことはあるでしょうか。
「プライマー処理」や「プライマー塗布」のように記載されていますが、「シーラー」や「フィラー」といった別の単語で記載されていることもあります。
これらはどう使い分けられているのか、プライマーの意味や役割等にも触れながらご説明させていただきます。
プライマーとは?
プライマーとは下塗り用塗料の一種です。
塗装では、下塗り・中塗り・上塗りと塗り重ねていくことで塗膜を強固に仕上げていきます。
その過程においてプライマーを含む下塗り材は以下のような役割をしています。
●●下塗り材の役割
- 外壁と上塗り材の密着性を高める
はじめに下塗り材を塗布することで、上塗り材を外壁にしっかりと密着させてくれます。
下塗り材を使わずに上塗り材をいきなり塗ってしまうと、外壁表面に塗装が付着せずすぐに剥がれたり、塗膜の耐久性が低くなってしまいます。
- 表面をなめらかに整える
塗装前の外壁・屋根の表面には、傷やへこみなどわずかな凹凸が生じている状態です。
このような凹凸や異物が表面に残っていると、その部分だけ塗料が密着できなくなってしまいます。
そのためにも下塗り材で凹凸を埋めて表面をなめらかに整える工程は、外壁塗装では非常に重要です。
下塗り材の種類
下塗り材の役割についてご説明しましたが、下塗り材にはプライマーの他にも複数の種類が存在します。
中でもよく目にするのが「シーラー」と「フィラー」です。
以下ではこの二種類についてご説明します。
●●「シーラー」と「フィラー」
- シーラー
シーラーの役割は、プライマーとほぼ同じです。
プライマーが単に外壁と上塗り材のつなぎ役であるのに対し、シーラーは下地への塗料の吸い込みを防ぐものとして区別されることがあります。
- フィラー
フィラーは、モルタル外壁の下塗りに使われることが多い下塗り材です。
モルタル外壁は、建物の揺れなどで細いひび割れが起きやすいため、下塗りの際にクラックを埋める効果を持つフィラーを塗布しておき、表面をなめらかに整えておきます。
「微弾性フィラー」と呼ばれる種類もあり、これは弾性塗料の下地材としても選ばれることの多い下塗り材です。
プライマーと同様のつなぎ効果に加えて、ひび割れを抑止する弾性効果を持っています。
プライマーの種類と特徴
下塗り材の種類が複数あることを前述しましたが、プライマーにも複数種類がありそれぞれ違った特徴を持っています。
これらは外壁や上塗り材との相性によって使い分けられています。
●●プライマーの種類
- 浸透性プライマー
経年劣化の激しいコンクリートやモルタルなどでは、耐久性を修復する目的で浸透性プライマーが使われます。
外壁の内部までプライマーが浸透することによって、上塗り材が外壁に吸い込まれなくなります。
さらにプライマーが内部から外壁を強化する効果もあります。
- 防錆プライマー
サビが発生しやすい鉄部の塗装では、防錆タイプのプライマーを下塗りします。
一般的なプライマーを使う場合、塗装前に下地処理としてケレン作業でサビを落としておかなければいけません。
大掛かりなケレン作業が必要になると、外壁材表面を大きく削らなくてはならず耐久性を落としてしまう恐れがあります。
しかし防錆タイプのプライマーは、サビがついてしまっているものでもサビを落とさずに下塗りができるため、
ケレン作業のコストを抑えられるというメリットがあります。
- 導電性プライマー
導電性プライマーは生産工場などで使用されることが多いです。
電気を通しやすい性質のため、火災発生の原因となる静電気が蓄積しないようにする効果があります。
このように、綺麗に塗装を仕上げてくれるだけでなく安全に使えるよう配慮されたプライマーもあります。
最後に
外壁塗装の仕上がりは、下塗りをどれだけ丁寧に行えるかにかかっています。
また、ただ単に下塗りを行えば良いという訳ではなく、塗装をする外壁や上塗り材と下塗り材との相性を見極めることも重要です。
お見積りの際に、プライマーが使われる箇所はどこか、シーラーやフィラーなどの下塗り材とどのように区別して使われているかなどにも着目し
疑問点を解消されておくと、塗装時の安心材料の一つとなるかと思います。