2023/12/06
前回は日向と日陰での劣化症状の違いについてご説明しましたが、今回は日陰部分の外壁によく見られる
コケやカビの発生についてさらに詳しくご説明していきます。
カビ状の汚れは美観性を損ねるだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
カビができやすい環境や外壁の種類など、塗り替えの際のご参考にしていただければと思います。
外壁に発生しているのはカビ?コケ・藻?
外壁に発生するのはカビだけでなく、コケや藻の場合もあります。
見分けるのが少し難しそうなこの二つですが、発生の仕方にも特徴があるのでここで解説していきます。
●●外壁に発生しやすいのは基本的に「コケ」や「藻」
実際の場合、カビが外壁に発生することはとても稀と言えます。
基本的に外壁に発生しやすいのは「コケ」や「藻」であるため、「カビだと思っていたら違った」ということも少なくありません。
カビは菌類、コケ・藻は植物ですが、どちらも同じような環境を好む傾向があります。
ほんのわずかな栄養分でどんどん広がっていき、雨などで湿度が上ればすぐに繁殖しやすい環境ができあがります。
このように似たような環境下で発生しやすい面がある一方、カビとコケ・藻の二つには次のような違いが見られます。
・コケ、藻…育つために日光を必要とするため、日当たりの良い場所に発生が見られる場合はコケや藻である可能性が高い。また、洗えば落ちやすい。
・カビ…日光が苦手なため、日が当たるところでは育ちにくい。コケや藻とは異なり、洗っても落ちにくい。
カビが発生しやすい立地条件・外壁の種類
前項でカビやコケ・藻が好む環境について少し触れましたが、ここではカビが発生しやすい立地条件や外壁の種類についてさらに深掘りしていきます。
●●カビが発生しやすい立地条件
・日当たりが悪い
・風通しが悪い
・田んぼや川の近くにある
・植物が周りにある
北側の外壁や、隣の建物に日光を遮られている外壁などは日当たりが悪いため、カビやコケの発生に注意が必要です。
また、風通しが悪いとさらに湿気がこもりがちになります。
本来カビの胞子は川や木々に多く生息しており、他の場所に比べ湿気が多くカビが繁殖しやすい環境が整っているため、
建物が川や植物、田んぼの近くにある場合はそれらを基点に外壁へカビが移る恐れがあります。
さらに上記の条件に当てはまらない建物でも、結露が発生しやすい場合は注意が必要です。
梅雨や冬の結露に悩まされているお住まいでは、屋内と屋外とでの温度差が大きくなりがちで、家の外壁にも結露していることが多いため
カビやコケの繁殖を許してしまいます。
●●カビが発生しやすい外壁の種類
カビの発生のしやすさは上記のような立地条件の他、外壁の種類も関係してきます。
特徴としては凹凸のある外壁です。
フラットでツルツルとした素材は水はけがよく乾きやすいため、胞子も溜まりづらくカビやコケも繁殖しづらくなります。
一方外壁に凹凸があると、その部分に雨水や汚れが溜まりやすいため、カビの繁殖に適した環境になりやすい傾向があります。
例としては、リシンやスタッコなどの吹き付け塗装が施されたモルタル外壁や、凹凸のあるデザインのサイディング外壁が挙げられます。
また劣化が進行した外壁は汚れやすくなっているためカビが発生しやすい傾向にあります。
さらにカビは外壁だけでなく屋根や軒天、シーリングに発生する場合もあり、雨漏りが発生している場合はお住まいの内部にまでカビが発生してしまうこともあります。
外壁のカビ、放置するとどうなる?
外壁にカビが発生していると、以下のようなデメリットが生じます。
・美観性を損ねる
時間の経過とともにカビは外壁に広く繁殖していくのが通常です。そのため、放置する期間が長くなれば長くなるほど外観の見た目が悪くなってしまいます。
また、時間が経過し大きく育ったカビは、日光や乾燥にある程度の耐性ができてしまっているため、目立つ箇所にまでカビが広がりさらに美観性を損ねてしまいます。
・外壁の劣化が早くなる
特に問題が見られない外壁でも経年劣化で徐々に傷みが見られてきますが、外壁にカビが発生するとこの劣化のスピードがさらに速まってしまいます。
ひどい場合は、カビが深く根を張ってしまい本来の耐用年数よりも大幅に早く外壁が傷んでしまうこともあります。
・アレルギー等病気の原因に繋がることも
カビはアレルギーなどの病気を引き起こす原因となることもあります。
特に喘息を持っている方や子供、高齢者にとって大きな影響を与えかねません。
また、外壁のカビは直接吸い込むことがなくても、換気扇などを通じて建物内部に入り込む場合もあり、内部に入った胞子は健康に被害を及ぼすだけでなく
室内にカビが繁殖するきっかけにもなります。
・長期間の放置で完全な除去が難しくなることがある
カビが発生したばかりのときは、流したり拭いたりするだけで落ちる傾向にありますが、長く放置してしまうと
深く根を張り完全に除去するのが難しくなる場合もあります。
そうなると業者へ依頼する必要があるため費用がかかる原因にもなります。
最後に
以上のように、外壁のカビの発生は建物の外観だけでなく内部まで侵食していく恐れがあります。
大切なお住まいを10年、20年と住みよい状態で保つためにも、このような症状が見られたら長期間放置してしまわず、業者へのご相談をおすすめいたします。
早めの対策をすることで、費用を抑えながらお住まいをより良い状態で維持することができます。
この記事を書いた人
代表取締役 戸髙 勇樹
保有資格:外装劣化診断士、一般建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、アステックペイント技術認定者
業界歴・経歴:約17年以上。大手リフォーム会社に就職後、一度は塗装業界を離れるも、「人に感謝される仕事がしたい」と、ベストホームに入社。1500棟以上の塗装工事を実施。
出身地:北九州市小倉北区
コメント:創業以来24年、福岡県北九州市を中心に外壁塗装・屋根塗装・防水工事・リフォーム工事を行っております。
塗装工事はどの業者に頼まれても塗ったばかりはキレイだと思います。塗装工事で差が出るのは〈数年後〉です。塗装工事を行い数年経過しないと適正な工事をしたのかがわからない、ここが塗装業者選びの難しいところです。塗装の高品質団体プロタイムズは『社会に貢献できる塗装・社会に誇れる塗装』をご提供させていただきますので、塗装工事でお悩みの際はお気軽にご相談ください。